痔の治療法として、比較的新しく登場した治療法がジオン注射療法です。

中国で開発された薬、「消痔霊」(硫酸アルミニウムカリウム)を改良したもので、
2005年から痔の治療に用いられています。

即効性があり、手術よりも患者さんの負担が少ないために人気の出てきた治療法です。

■ ジオン注射とは?

痔の注射療法というのは、以前から行なわれてきた手法です。
その多くが、患部に薬剤を注入することで硬化、萎縮させるものです。
しかし、効果が十分ではない、というデメリットがありました。

ジオンはその効果の高さが注目されています。
注射すると患部が炎症を起こして、組織が線維化し、やがて硬化、萎縮していくのですが、
その期間が28日という驚くべき早さで改善していきます。

ジオン注射は、おもに脱肛をともなう内痔核に対して行ないます。
1つの痔核を4か所に分割して注射する「四段階注射法」が一般的。
分割することで薬液を患部全体に十分に浸透させることができます。

四段階注射法は医師の高い技術が必要ですし、ジオンは強力な薬ですので、
誤った使い方をすると正常な組織にもダメージを与えてしまいます。
そのため、ジオン治療ができるのはトレーニングを受けた特定の医師に限られます。

切除しない治療法ですので、日帰り、あるいは1~2日程度の入院で済みます。

術後の痛みも気にならない程度です。
切除術と比べると、患者さんにとってはかなりメリットの大きい治療法といえます。

■ 術後の経過と費用

術後は、痔核へ流れ込む血液が減って出血が止まります。
脱肛も少なくなり、やがて患部が小さくなっていき、
術後1ヶ月ほどで周辺組織が元通りに戻っていきます。

これだけの早さで、切除術と同程度の効果があるのは驚異的といわれています。

ジオン療法には健康保険が適用されます。
3割負担の場合で約1~2万円ぐらいになります。

興味のある方は、ジオン療法をおこなっている病院を探して相談してみましょう。