五十肩になる原因は、まだはっきりとわかっていません。

ただ、これまでのデータを見てみると、
腕を上げた状態で長時間作業をしたあとにおこりやすい病気だということはいえます。

特に、樹木の手入れをしたあとや大掃除で高い場所を拭き続けたあとに発症することがよくあります。
物を持ち上げようとした瞬間や、テニス・ゴルフのスイングなどの最中に突然激痛に襲われて、
それ以降、肩を動かすたびに痛むケースも多いようです。

また、無理な姿勢をとったり、打ち身を起こしたことから五十肩になったという場合もあります。

一説に糖尿病の患者に発症率が高いともいわれましたが、
調査の結果、関連性はないことがわかっています。

●五十肩のメカニズム

なぜ、五十肩が起こるのか、肩の仕組みについて説明します。

一口に肩といいますが、これがなかなか複雑な構造をしています。
肩は、前後 ・左右に動くのはもとより、ほぼ360度にわたって回転でき、
人体の関節の中では最も動く範囲が広い関節です。

こうした多用な動きに対応するために、肩関節の仕組みはかなり複雑なのです。
肩関節とは、腕の骨である『上腕骨』と、『肩甲骨』とのつなぎ目を指します。

上腕骨の上端にある丸い『骨頭(こっとう)』は肩甲骨のくぼみにはまりこんでいます。
このくぼみは非常に浅くできているために、上腕骨の動く範囲が広いという反面、
はまり方が浅いので、関節が不安定で脱臼しやすいという弱点があります。

関節を取り囲む袋(関節包)がありますが、十分に強いとはいえません。

肩関節の周りは『肩甲下筋』『棘上筋(きょくじょうきん)』『棘下筋』『小円筋』
という複数の筋肉が前から上、後へと順番に取り巻き、支えています。

これらの筋肉の周りには、『滑液包(かつえきほう)』という袋があって、
潤滑油のような働きをする『滑液』をつくり、筋肉と腱の動きを良くする働きがあります。

肩甲骨と鎖骨は、いくつもの靭帯でつながっています。
これらの筋肉はそれぞれ、コラーゲンの線維から成る『腱』によって
骨と連結されています。

腱は平べったい、板のような形をしていることから『腱板』と呼ばれます。

腱板は、関節を安定させるために役立っているのですが、
この『腱板』が五十肩の発症にかかわっています。