●顎関節症の構造
顎関節は左右に一つずつあって、
頭の骨のくぼみに下顎の骨の突き出た部分が
はまり込むような構造になっています。

顎を動かした時に、両耳の前あたりに手をおいてみて下さい。
動いている部分があるのがわかりますよね?
この場所が顎関節の場所です。

頭の骨(側頭骨)のくぼみは、
耳のすぐ前あたりにある下顎窩(かがくか)というへこみと
その前にある関節隆起という出っ張りからできています。
そのくぼみに、下顎の骨の突き出た部分、下顎頭(かがくとう)が
はまり込んでいます。

下顎窩と下顎頭の間には、関節円板という、
いわばクッションの役目をする部分があり、
骨同士が直接こすれ合わないようになっています。

関節円板は、コラーゲンという膠原繊維でできている、
野球帽のつばを狭くしたような帯状のもの。
その端は下顎頭の内と外に連結されていますが、
前後にはあまり強く連結されていません。

下顎窩のくぼみと下顎頭の間にはさまれていて、
顎の動きにつれて下顎頭の内と外の連結部分を軸にして前後に回転し、
下顎頭の先と一緒に動いて
口の開閉時の圧力を吸収しスムーズに動けるようにする働きをしています。

これらの関節は、関節包という線維性の膜に包まれています。
関節包の内面には、滑膜から滑液という液体が分泌されていて、
潤滑油の働きをするとともに、
関節円板や骨の表面の線維軟骨に栄養を運んでいます。

●顎を動かす筋肉
・開口筋・・・口を開けるのに使う筋肉。
       首の前(顎の下)にある前頸筋(舌骨上筋・舌骨下筋・胸鎖乳突筋)
・閉口筋(咀嚼筋)・・・食べ物を噛むのに使う筋肉。
       咬筋・側頭筋・外側翼突筋・内側翼突筋
・頸筋・・・・食べ物を食いちぎったり、しっかりとらえるために使う筋肉。
       前頸筋(舌骨上筋・舌骨下筋・胸鎖乳突筋)
       後頸筋(僧帽筋など)

●顎関節の動き
・口を開けるとき
口を開けようとすると下顎頭は回転し、下顎窩から外れて前に滑り出します。
関節円板も下顎頭の上に乗って一緒に前に移動します。

・口を閉めるとき
下顎頭は後ろに移動し、下顎窩の中に収まります。
関節円板も一緒に後ろに移動して、元の位置に戻ります。

・食べ物を咀嚼するとき
下顎を左右に動かす必要があるため、左右のどちらか一方だけ
下顎頭が前に滑り出し、この連続で食べ物を噛む。

●関節円板はズレやすい
関節円板は、前後の連結がゆるやかになっているため、前後に動きやすく、
関節円板の後部組織が伸びやすい構造になっています。
関節円板が前後に動いているうちに後部組織が伸びてしまい、
関節円板が前方にズレたままになってしまうと、口を開け閉めする時に
『カクカク』音がしたり、口が開けずらくなる症状が出てきます。