●現代人は顎が退化している?

同じ顎関節症の原因となる生活習慣を行っていても、
顎関節症になりやすい人となりにくい人がいます。

また、近年に顎関節症は増加しており、
それも若い女性など若年層に増えています。

これは、最近の柔らかい食べ物の多い食生活から
『噛む力』が弱くなっていることが関係しているのではないかと言われています。
伝統的な日本食に比べ、ハンバーグやスパゲティといった現代人の好む食事は、
噛む力も噛む回数も少なくてすむので、顎が運動不足になり筋肉が衰えてしまっているんです。

そのため顎関節の動きをしっかり支えられることができず、
顎関節症を発症しやすい素地を作ってしまっているわけです。

顎の退化は顎だけの問題にはとどまりません。
顎の運動不足では脳への血流量も少なくなり集中力も落ち、
顎が弱いときちんと噛みしめることができないので力が出ないし平衡感覚も低下、
身体能力に大きく影響するのです。
また子供の頃からこういった生活習慣を続けるということは、
骨格や筋肉の発達にも影響があると思われます。
顎を退化させないよう生活習慣を見直すことこそが必要なのかもしれません。

●子供の顎関節症

子供が顎関節症を訴えるケースも増えています。
原因は大人と同様ですが、学校生活 ・受験勉強 ・ 友人関係 ・親子関係など、
最近では子供も大人さながらにストレスを受けているということにも
関係があるのではないかと言われています。

顎の退化という問題もやはり背景となっていると思われ、
子供のひどい虫歯は減ってきているそうですが、
噛みあわせの異常で歯科を訪れる子供は増えているという話も聞きます。

例えば母乳で育った子供には悪い噛みあわせが少なく顎関節症の発症率が低いという説も。
母乳を飲むためにはある程度強く吸う必要があるので顎や筋肉の発達によいのではないか、
ということだそうです。

また悪い姿勢が顎関節症の原因になることもあります。
外遊びの機会が減り基礎体力の落ちた姿勢の悪い子供が増えてきていることは、
とても気になるところです。

成長期にある子供にこそ、顎をしっかり使う食事で顎を鍛える、適度な運動を行ない、
姿勢を正しくする規則正しい生活をして過度なストレスにさらさない、といった
基本的なことに注意してあげたいものです。